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映画に飲み込まれた迷い主

映画『バクマン。』感想”ウォォォォォ!!!まさにジャンプな青春映画”

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映画『バクマン。』を見た感想をネタバレなしで書いています。ちょっと真面目に2015年邦画ベスト来たかもしれません。原作の補完が不要なまとまったストーリー。邦画にしかできないであろうこだわりの演出。キャストから何まで期待超えてきました。

リリース情報

日本公開日:2015年10月3日

簡易感想

私的好き度:★★★★★

笑える:★★★☆☆

泣ける:★☆☆☆☆

怖い:☆☆☆☆☆

スカッとする:★★★☆☆

ドキドキする:☆☆☆☆☆

心があったまる:★★☆☆☆

憂鬱になる:☆☆☆☆☆

 

映画感想

”THEジャンプ”な青春映画!

漫画だろ?家にこもって漫画描くなんて高校生らしくないんじゃない?なんて一瞬でも思った自分が間違いだった。なんだこの真っ直ぐな青春映画は・・・。

青春時代の無敵モード。今やってることに全力で取り組んで、可能性の広がった未来を信じて夢を掲げる。悔しい思いに目覚めて闘志を燃やし、時に喧嘩をしながらも、打ち勝つために努力・努力・努力。汚れた顔も服も青春の証。好きな人を一途に思う素晴らしきや青春。

まさにジャンプのスローガン、友情・ 努力・勝利が描かれています。部屋にこもって作業する漫画を題材にした作品がまさかこんなに直球青春映画になってるとは正直思いませんでした。原作を知ってる人ならそんなこと思わないんでしょうが、全然読んだことなかった身からすると結構その点が予想外というか期待を越えた点です。

高校生が漫画家を目指すからいいんですよね。そこにすごい良さが詰まってる。原作ではそこから登場人物が成長するようですが、この映画は高校生を描いたから凄く良い映画に仕上がってたんじゃないかなと思います。

というのも高校生って本当純粋に夢を追いかけられるじゃないですか。そこがいい。もちろん将来のことを現実的にも考えるけど、それでも彼らは純粋にこうしたい。こうなりたいという気持ちを持ってる。持つことができる。

例えば「俺は海賊王になる」とか「火影になる」とか、大きなことを宣言してそして努力することが出来るのって高校生までだと大学生の自分は思います。これからどうなるかわからないけど、ただ今はとにかく全力で頑張りたい。なんて臆すことなく思える時期って人生の中できっと凄く貴重で、そんな自分を信じて真っ直ぐ努力できる彼らの青春を見るのはとても気持ちが良かったです。

 

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いやでも、別にこの映画ってちょっと才能のある高校生のサクセスストーリーを描いているわけではないんですよね。それを描きたいわけではきっとない。どうなるか”結果”を描きたいんじゃなく努力してる”今”を描きたいんですたぶん。

だって大抵高校生が汗水垂らしながら必死こいてやることって何も将来に結びつかないですか。野球やバスケ、吹奏楽。例えば部活動は青春の象徴だけども、じゃあ頑張ってプロになれるの?って言ったら大体はそうじゃない。

でも実際高校生の彼らは別に将来のために頑張ってるわけじゃないんですよね。単純に上手くなりたいから、勝ちたいから。そのために努力してるんです。

もちろん将来の夢を持ってはいるけど、彼らを突き動かすのはもっと単純なことなんです。さっき真っ直ぐ夢を持てることが高校生の良さなんて言いましたが別にいつもいつもその夢を意識しながら努力してるわけじゃない。「火影になりたい」って夢に向かってたナルトも、実際はライバルに勝ちたい。強くなりたいっていう単純な思いで努力してるんですよね。

つまりこうなりたいという大きな夢を持ちながらも、単純で真っ直ぐな気持ちを胸に目の前のことに全力が注がれてる。それが高校生の姿なのだと思うんです。

そんな風にこの映画は高校生が夢を持ちながらも目の前のことに必死こいて努力して、友達と目をキラキラさせながら少し意気がってぶつかっていく姿を描いたからこそいいし、ラストの気持ちよさがあるんです。

神木隆之介佐藤健のW主演ですが、彼らの演じた決して目立つタイプではなさそうな高校生が叫んだり、走ったり、手を叩いたりする姿に熱くなりました。取り返しのつかない過ちとか、同じ人を好きになっちゃったなんていう少しドロドロした恋愛とか、なんてのも青春だなと思うんですけど、やっぱり真っ直ぐな青春っていい!

どんな形の青春でもその刹那的の感じが心を掴むのは変わりないけど、やっぱりジャンプ的青春っていいわ!って思います。この映画は漫画を題材にした映画ですが、何よりも高校生の青春を描いた作品です。サカナクションの爽やかな主題歌も後押しして主人公二人の真っ直ぐさに心を動かされました。

あらすじ

 高い画力に恵まれながらも夢を持たず普通の生活を送ってきた高校生の真城最高は、同じクラスの秀才・高木秋人から一緒に漫画家になろうと誘われる。プロの 漫画家だった叔父を過労で亡くした過去を持つ最高は漫画を描くことを拒否するが、思いを寄せる声優志望のクラスメイト・亜豆美保と交わした約束をきっかけ に漫画家を目指すことに。週刊少年ジャンプでの連載を目標に漫画づくりに励む最高と秋人は、敏腕編集者・服部に才能を認められ漫画家としての第一歩を踏み 出す。しかし、そんな2人の前に同年代の天才漫画家・新妻エイジが現われる。

バクマン。 : 作品情報 - 映画.com

 

本当の意味で”漫画を作りだすこと”の面白さ

漫画を描いたことのない人間からすると、Gペンだったりトーンだったり何から何まで新鮮で、漫画を描くシーンだけで楽しめたんですけど、この作品の醍醐味って漫画を描いてから出版社が実際に漫画を世に出し、そして読んだ人の反応が来るまでを描いてるところだと思うんです。

まさに”漫画は読者に読んでもらって初めて漫画になる。”ということですよね。

本当の意味での漫画の完成を描いてるところがこの作品の良さだと思います。っでその過程にある漫画を描くシーンの他にも、漫画の連載を決めたり編集者として漫画家を支えたりという、出版社の働きを描いているところが非常に興味深く楽しませていただきました。

実際の集英社が舞台らしいんですけど、そういうこともあってか実際に働いてる人も納得のリアリティ。集英社ってどんな仕事してるの?」なんていう仕事見学DVDとしても全然アリなんじゃないですか?

集英社の組織構造とか仕事する時間帯とか仕事内容とか説明してくれるので、出版社志望の大学生とか絶対見た方がいいです。特に好きなのが編集者がどの漫画を連載するかを決める会議のシーン。イメージそのままの出版社社員。漫画愛の伝わってくる会議風景を見てわくわくしましたね。出版社つとめたい!!なんて一瞬思いました。

こんな感じにこの映画の「漫画作り」って決して漫画を描くことだけを指してるわけではなくて、漫画を読者に届けるまでのことを指しているんです。漫画家だけじゃなくて、もっとたくさんの人が漫画を作り出して読者に届けようとしている。

そんな多くの人、ましてや読者を含めると数え切れない人たちが一つの漫画を作り出しているところにとてもワクワクしました。

 

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本当、連載漫画の文化って面白いですね。・・・って何か凄いプラスな感情が強い映画のように感想言ってきましたが、別にそうじゃありません。描かれてることのほとんどが大変さです。

その大変さがこの作品に闇を落としていますし。ただ単に漫画作るの楽しな~なんていう軽さはけっしてありません。

でもこの作品の持つワクワクとか、青春とか、楽しさとかそういうのは苦労の先にあるものだと思うんです。大きな壁があるからこそのジャンプなんですよ。大変さが友情・努力・勝利というスローガンを生み出しているのです。だからこそここまで熱くなって楽しめた。そんな風に思います。

 

最後に

この映画はめちゃくちゃ演出に凝ってます。漫画という文化を強く持つ日本にしかできない演出でしょう。特にエンドロール。そうきたか!という演出に最後の最後まで目が離せませんでした。NARUTO映画の『BORUTO』のエンドロールが歴代一位だと思ってましたが、同じくらい好きです。本当、最後まで物作りのワクワクがぎっしり詰まった映画でした。素晴らしい。

是非是非、見ていない方には音響の良いスクリーンで観ることをおすすめしたいです!