『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』感想 ”今ある現状を受け入れられずにいる人に見て欲しい”【Huluおすすめ映画】
映画『ノッキンオン・ヘブンズ・ドア』を見た感想をネタバレなしで書きました。
死をテーマにも関わらず前向きな気持ちなれる映画なので、今ある現状を受け入れずにいる人にこそおすすめしたい作品です。
あらすじ
余命わずかと宣告され、たまたま末期病棟の同室に入院させられたマーチンとルディ。二人は死ぬ前に海を見ようと病棟を抜け出しベンツを盗んで、人生最大でおそらく最後の冒険へと出発した。その車がギャングのもので、中に大金が積まれていたことも知らずに。道中、残り少ない命の彼らに怖いものなどなく、犯罪を繰り返し、ギャングのみならず警察からも追われる身になるのだが…。
まずはじめに言いますが、この映画はとにかく脚本が素晴らしいです。
脚本を書いた監督は無名であったものの、「ブレードランナー」で有名なルトガー・ハウワーがマネージャーを押しのけてまで出演を承諾したのも頷けます。
この作品は所謂
”余命宣告を受けた人間が残りの人生をどう生きるか”
というタイプの映画です。
例えば、
「死ぬまでにしたい10のこと」
「最高の人生のはじめ方」
などがこちらのタイプの映画かなと思うんですけど、これらの作品と違うのは
”登場人物が自分から積極的に天国に向かっているところ”です。
タイトルのとおりまさに天国の扉を自ら叩きにいっているような映画なのです。
どうですか?もうすぐ死ぬとわかったら「死にたくない」「まだやり残したことがたくさんあるんだ」ってきっと思いますよね?
そうじゃなくこの映画のように、ショックは受けつつも「死ぬとわかったなら仕方ない。好き勝手しちゃおう!」「死人たちとの話のネタのために海を見に行かなくちゃ!」なんて思えるでしょうか。
そんな風にはいられないよなーと思うからこそこの映画に強く惹かれるのです。
”ただひたすら前を向いて突き進む”。それこそがかっこいい生き方なんだと思わされました。私もそう最後まで生きたいと。
そうです、この映画は確かに”余命宣告を受けた人間が残りの人生をどう生きるか”というタイプの映画ではあるんですけど、全く暗くなくむしろ爽やかさのある作品です。
もう直に死ぬとわかった男二人は、病院を飛び出し海に向かいます。
なぜなら、海をみたことがないから。天国ではみんなが海の話をよくするらしく、海を見ていないと話に入れないぞということで二人は死ぬ前に海に行くことに決めるのです。
その途中、色々偶然が重なりゲットした大金を使って警察やギャングに追われながらもやりたかったことをしまくります。
それがとてもコミカルなんです。この映画はほぼコミカルなシーンで構成されています。
出てくるギャングは英語が上手く話せない頭のよくない人たちだし、警察もバカっぽい。時折ギャグを挟むというよりか、ほとんどギャグという方が正しい。
そんなにコミカルで「単に死に対して浅い考えの映画になっていないのか」と思う人もいるかもしれませんが、それは大丈夫です。
しっかりとシリアスに主人公の男二人がもうじき死ぬんだという描写はされています。
だから常にどんなバカをやってても彼らはもうじき死ぬのかという思いが見ている最中に消えることはありません。
でも、彼らが死ぬことに対してあまりにも前向きだから「死ぬなんてかわいそうだ」と暗い気持ちになることもなく、
ラストに同タイトルのボブディランの曲が絶妙なタイミングでかかるんですけど、その時感じるのはまぎれもない爽快感ですよね。
自分が死ぬとわかったらどうしたいか考えるきっかけになることはもちろん、
目の前にある現状を受け入れられずにいる人にとっては背中を押してもらえるような映画になっています。
死が迫っているのに前向きで馬鹿でかっこいい男二人の生き様に逆に元気づけられること間違いなしです。
では最後にルトガーハウワーが演じるキャラクターが言う台詞で締めくくりたいと思います。(※日本語訳です)
”天国では皆が話す 海のこと 夕陽のこと
あのバカでかい火の玉を眺めてるだけで素晴らしい
海と溶け合うんだ
ロウソクの光のように一つだけが残る
心の中にな”
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