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映画に飲み込まれた迷い主

『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』感想”最強飯テロ映画。食べることは生きること”

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 映画『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』を見た感想をネタバレなしで書いています。『アイアンマン』シリーズのジョン・ファブローが監督・脚本・主演を務めた”最強飯テロ映画”。食べ物に対してはそこそこな興味しか持っていない私のような人間の心を満たしてしまうような素晴らしい作品でした。

リリース情報

日本公開日:2015年2月28日

簡易感想

私的好き度:★★★★★

笑える:★★☆☆☆

泣ける:★☆☆☆☆

怖い:☆☆☆☆☆

スカッとする:★★★☆☆

ドキドキする:☆☆☆☆☆

心があったまる:★★★★☆

憂鬱になる:☆☆☆☆☆

 

映画感想

本当の意味での生きる喜びが込み上げてくる満腹映画!

「これ見たら絶対お腹空くよ!」なんていう友人からの忠告を受けたためにしっかりとお腹を満たしてから観に行ったのですが、オカシイくらいに気づいたら口の中がヨダレまみれになっていました。

しっとりバターの塗られたパンに挟まれたとろとろのチーズと切り落とされたたっぷりのお肉。それをいい感じの焦げ目がつく程度にジューっと焼いたキューバサンドとその他様々な料理が胃袋をノックアウトさせまくるのがこの映画です。

食べることは生きることなんて言いますが、まさに食べるという行為は本能的で野性的な行為であると言えるでしょう。”食べ物を味わうとは生きる喜びを噛みしめること”なんていう風に思うし、とにかく食べることって生に対して人間がとるとても情熱的な行為であると思うんです。

この映画ではそのように”食べること”が描かれている。蒸し暑く情熱的なマイアミやニューオリンズを舞台に踊り出したくなるラテンミュージックに胸を躍らせ、料理を作って食べる。食べる。食べる。

自分の好きなことを好きなようにすることが生(生きる)をイキイキさせるものであるというように描かれ、それを生(命)に直結した「食べる」という要素がジュージューと熱い鉄板で盛り上げています。

 

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劇中に「セックスで気分最高!」なんていう馬鹿みたいなんだけど思わず笑顔になってしまう音楽を歌うシーンがありますが、食べることとセックスは同じなんですよね。両方とも生を突き動かす行為であって、この映画はそんな心も体も生きる喜びで満たされていく人間の姿を描いた映画なんだと思いました。

だからとにかくこの映画って観終わった後にじわじわと生が湧きたつような感覚を持たせてくれるわけで、アミーゴ!って思わず音楽に合わせて踊りだしたくなる映画です。

アイアンマンで全然新しいことが出来なかった監督の心と重なると思うんだけど、「いいから俺の好きなようにやらせろ!!!」という心の叫び。そんな生きることに対する熱の籠った思いを土台に、好きなように生きること。そして親子や家族の修復を目的地としたストーリーは綺麗なまとまりがあって素晴らしい。

自分が望むように生きることの喜びを噛みしめたくなる最高の料理映画です。

あらすじ

ロサンゼルスの有名レストランで総料理長を務めるカールは、口うるさいオーナーや自分の料理を酷評する評論家とケンカして店を辞めてしまう。心配する元妻 イネスの提案で、息子パーシーを連れて故郷のマイアミを訪れたカールは、そこで食べたキューバサンドイッチの美味しさに驚き、フードトラックでサンドイッ チの移動販売をすることを思いつく。カールはイネスやパーシー、仲間たちの協力を得て、マイアミからニューオリンズ、ロサンゼルスへと旅を続けていく。

 

現代的な生の躍動感を感じられるSNS映画

それでこの映画は部分部分がドキュメンタリータッチで描かれているんですが、その描き方がとても上手い。

そもそも前に述べた通り、この映画って心と体の両方から生をイキイキさせる映画だと思うので、生々しさを感じさせる作品なんですよね。その生々しさをドキュメンタリータッチの映像を使うことでさらに際立たせているように感じました。

そしてドキュメンタリーさを上手く出すことに貢献していた要素というのが、SNSを使う描写なんです。リアルタイムでTwitterとかFacebookとか動画投稿アプリなんかが更新されてオンラインとオフラインが同時に動いているのが現代の姿というのは今や誰もが分かっていること。それって人間の生の躍動感というか熱量の規模感が大きくなったとも言えるのではないでしょうか。

いつもあちらこちらでオフラインでは炎上騒ぎが起きていて、話題が尽きない。そんなお祭り騒ぎのような規模での盛り上がりが今では珍しいことではなくなっているんです。

この映画で主人公のシェフがフードトラックの店主になったのも、Twitterが影響しています。ネットで送信したものは消えることはなくどんどん広がり続ける。そんなダイナミックに膨れ上がる動きに飲み込まれた中年シェフはネットによって人生が変わってしまうのです。

SNSの影響力ってだから怖いとは思うんですけど、人間の持つ熱をより引き出し大きくしてくれる存在であるんですよね。

そんな感じにSNSがこの映画では注目して描かれていて、いわば”食べ物とSNSの映画”であると思います。そしてSNSのリアルタイムでお祭り騒ぎが起こるという特性を活かしてドキュメンタリータッチを際立たせ、現代的に生の躍動感をこの映画は上手く表現出来ているのだと思いました。

 

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そしてSNSを食べ物×ラテン×ドキュメンタリータッチという要素と融合させたジョン・ファブローは凄いですね。製作・監督・脚本・主演という四役をしている時点で最強なんだけど、同じようなイメージの持つ要素を上手く組み合わせて相乗的にテーマを盛り上げるというやり方はまるでSNSのような膨らませ方のようにも思えるわ、料理の手さばき凄い綺麗に見えるわで、色々感服です。

 

最後に

あ~肉が食べたい!肉をくれ!と只今お腹が悲鳴を上げていますが、思い出すだけでお腹空く映画です。料理がすでに美味しそうだし、美味しそうに撮るし。そして全く料理をしない私がなんだか猛烈に料理がしたいと思わせてくれる映画でもあります。

そしてロバート・ダウニー・Jrスカーレット・ヨハンソンダスティン・ホフマンという豪華俳優も出演している点も魅力の一つ。

ボリューム満点、誰もが絶対にいい気持ちになれる良作です!これは外れない。