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映画に飲み込まれた迷い主

『インサイド・ヘッド』感想 ”自分にあるどんな感情も抱きしめたい” ―傑作すぎ。脳内ポイズンベリーのマネとか言ってごめんなさい

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映画『インサイド・ヘッド』を見た感想をネタバレなしで書いています。

”自分にあるどんな感情も抱きしめたい”と強く思える作品でした。大変感動です。

 

リリース情報

日本公開日:2015年7月18日

インサイド・ヘッド|映画|ディズニー|Disney.jp |

TSUTAYAレンタル開始日:

 

あらすじ

いつでも笑っていたいのに、なぜカナシミは必要なの?

11才の女の子、ライリーの頭の中に存在する5つの感情たち---ヨロコビ、イカリ、ムカムカ、ビビリ、そしてカナシミ。彼らは、ライリーを幸せにするために奮闘の日々。だが、ライリーを悲しませることしかできないカナシミの役割だけは、大きな謎に包まれていた…。
そんなある日、見知らぬ街への引っ越しをきっかけに不安定になったライリーの心が、感情たちにも大事件を巻き起こす。頭の中の“司令部”からヨロコビとカ ナシミが放り出され、ライリーは2つの感情を失ってしまったのだ! このままでは、ライリーの心が壊れてしまう! 果たして感情たちは、ライリーの危機を救うことができるのだろうか? そして、カナシミに隠された、驚くべき<秘密>とは…?

作品情報|インサイド・ヘッド|映画|ディズニー

 

簡易感想

私的好き度:★★★★☆

笑える:★★★☆☆

泣ける:★★★★☆

スカッとする:☆☆☆☆☆

ドキドキする:★★☆☆☆

悲しい:★★★★☆

怖い:★☆☆☆☆

描くものは”感情”

しかも、ヨロコビ、カナシミ、イカリ、ビビリ、ムカムカという誰にでもあるありきたりな感情です。なのではじめは子供向きかなと思っていました。

「そんな感情の描写なんて浅いんじゃないかな」と思っていたんです。
けれども、さすがピクサー。全くそうではありませんでした。

というか、そもそもそんな感情だけではなく頭の中で起きている事が全てビジュアル化されているのです。
記憶、忘却、妄想、深層心理、性格形成、夢

”なぜかどうでいもいい音楽が頭から離れなくなる時の頭の状態”とかまでも。特に、今まで持っていた自分の中にあった性格が成長とともに変化していく様子が印象的でした。

例えばその一つが”ビンボン”と呼ばれるライリーが3歳のころ大好きな動物を掛け合わせて創り出した“空想上のともだち”の描写です。

ほんと、そいつがいいやつすぎて!!!!!

成長と共にビンボンがどうなっていくのか、その描写が今作の面白さを何倍にもしているのは間違いありません。

というわけで、この作品は頭の中を隅から隅までビジュアル化したとてもイマジネーション溢れる作品です。その一から世界をつくり上げる想像力には圧倒されました。そして、この「人の頭の中では何が起きているのだろうか」そういう視点で見てもかなり面白かったです。Twitterでは脳科学者の茂木先生もその点が興味深かったと言っていたので絶対に楽しめるはず。

 

世界観が全然子供向けではなく、大人もみんなが楽しめるという点ではストーリーも負けていません。この作品の主題は「なぜ、カナシミが必要なのか」ということです。

カナシミなんてやっかいな感情いらないんじゃないか、そういう思いに対して原題である「"Inside Out"インサイドアウト」(=裏返し)というやり方で「カナシミも必要なんだ」ということを表しています。

 

公式HPにも載っていましたが、そのように負の感情を受け入れるのことで「自分をもっと好きになる」ことができます。

私は「弱音を吐いたらいけない」、「もっと明るい性格でいたい」そんな気持ちが少なからずありました。それには自分の負の感情をあってはいけないものととらえているという背景があるのでしょう。

そうではなく、この作品を観ることで全部の感情が自分自身のためにがんばってくれている。”かけがいのない存在なんだ”と思えることができ、

「嫌に思える感情を持った自分も全部を受け入れよう」という気持ちになれました。

 

自分の全部を受け入れる

特に成長して大人になってから「自分は泣いてなどいけないんだ」「弱音など吐いている場合ではないのだ」と自分をいつの間にか苦しめている人ってたくさんいると思うんですよ。

この作品の主人公ライリーは11歳の女の子で大人ではなく、彼女がどうして感情を押し殺してしまったのかというとそれは「自分のことがわかっていない」ということが原因だと思います。

しかし大人になってから自分のことがわかっていると思えても、自分の頭の中にある感情を客観的に受け入れられている人ってそんなに多くいるのでしょうか。

自分であれこれ考えるようになったら、大人も子供も関係なく自分の感情を押し殺したり自暴自棄になって自分のことがよくわからなくなったりすることがほとんどの人にあると思うのです。

 

そして大人になればなるほど”不器用”になっていくこともあると思います。子どもの時はこんなこと簡単に出来たのにどうしてできないんだろうって思うことありませんか?

大人になっていけばいくほどどんどん感情は複雑になっていき、「なんだか自分のことがよくわからない」状態に陥る。(作中で感情の複雑さが増すという描写があります)

もしかしたら、そもそも子供よりも大人の方が自分のことがよくわかっていなくてライリーよりも頭の中が大変な状態にいる人の方が圧倒的に多いのかもしれません。特に中途半端に大人な高校生、大学生とか。

だから子供よりも特に思春期を経験した大人の人こそこの作品を観終わったら幸せな気持ちになれるのでは、と私は思います。

自分がよくわからない!という人にはもちろん、自分のことがわかっている、自分はこういう人間だと思ってしまっている人にこそ見て欲しいですね。

 

だから一方で、この作品って小学校低学年以下の子供にとっては「どうしてカナシミが必要なの?」という説明が言葉でされていないこともあって

「よくわからん」作品なのかもしれません。

もちろん、そんなメッセージがわからなくても問題なく楽しめる映画ではあるんですけどね。

でも、そんな小さな子供とその親や思春期を迎えている子供とその親。そういう親子にこの作品は見て欲しいなと思うんです。

というか自分が親だったら絶対に子供と一緒に見たいですね。

子供のいる親にとって絶対に子供の頭の中を理解するのに役立つことは間違いないですし

例え子供が理解できていなくても、親が子供にこの作品を使って教えられることはたくさんあると思います。

そして、この作品は実はライリーの頭の中だけではなくその他の人間や犬や猫の頭までも描いているんですよね。もちろんライリーの親の頭の中も。

これがこの作品のかなり面白いところ!

親が客観的に自分自身が子供に接している時にはどんな頭の中なのか見て想像する楽しみがありますし、子供も親の頭の中ってどんな感じなのかなと思うきっかけにはなると思います。

 

 最後に

この作品は、おもちゃ箱のようにたくさんの大切なことが詰まっている作品です。

それは誰にとっても大切なもので、そしてこれを見ることでもっと大切にしたいと思えるのではないでしょうか。本当、アニメ―ションの良さを十分に引き出した素晴らしい映画。

大人にとっては自分の小さい頃の思い出だったり、もう今はない小さい頃に大切にしていたこと、そんな大切な過去を思い返すきっかけになりつつも

現在の自分自身を見つめることのできる作品となっています。

そして子供がいる大人は、それに加えて子供のことをもっとわかってあげたい、大切にしたいと思える作品になっていると思います。

 

個人的には、思春期の子供がこれを見たらどう思うのか、というところが気になるのですがどうなんでしょうね。

でも間違いなくライリーに共感できるところはあるのではないかな、と。

 

それが犬でも猫でも、感情を持つ者全部が楽しさを共有できる素敵な映画です。

 

 

 おまけ

以下、アメリカの地理に詳しくない自分がちょっと個人的に気になった舞台であるミネソタカルフォルニアの距離です。

 

結果:日本で考えると、北海道から九州くらい離れているようです。

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 工事中の多さに笑えます。

 

 

 

 

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