『バケモノの子』の一郎彦を推しつつ一緒に闇を抱えてみる ※ネタバレあり
バケモノの子でひときわ私の心を鷲掴みにした”一郎彦”の闇について思いをつづってみようかと思います。
※基本真面目に書きましたが、最後荒ぶってます。お気になさらないで下さい。
一郎彦ってどんな子?
(少年期)(CV黒木華)
猪王山の長男。親ゆずりの強さ・品格をもち、父のような立派な剣士になることを夢見ている。
(青年期)(CV宮野真守)
少年期の優等生っぽい雰囲気から、大人びた精悍な顔つきに成長。物に触れずに動かす能力、念動力の使い手。
一郎彦の苦悩
一郎彦は父親のことを誰よりも尊敬しています。そしていつかあの父親のようになりたいと強く思っていました。一郎彦はいい子なんです。
しかし、一郎彦は自分自身が成長しても全然尊敬する父親のような見た目にならないことで苦悩するようになります。
それは、尊敬している人に近づけないということ、自分とまわりの家族と一人だけ見た目が違うこと、そして何よりも自分がバケモノのような見た目をしていないことによる
「自分は一体何者なんだ」という苦悩でした。
そうして一郎彦は人間である蓮の存在によって、自分自身が人間なのではという気持ちがいつしか自然と湧いてきたと予想できます。
だから彼は頻繁に人間界に行っていたのでしょう。
それは、彼が蓮の読めなかった「鯨」という文字を読めたところからわかります。
(上流階級の家庭だとバケモノの世界でも文字を学んでいる可能性はありますが)
自分が何者なのかを知るために、彼は蓮と同じく人間として文字を学び彼なりに人間を知っていきます。
しかしそれは、より自分が人間であることがわかってしまう行為であり、彼の苦しみはますます大きくなっていったと思います。
では何が彼の人間であることの苦しみを強めたのか。
それは父親である猪王山に問題があると思います。
蓮が他のバケモノに見つかった際に一郎彦がいる場で「人間は闇を抱える危険な生き物だ」と言いましたが、それが一郎彦の苦しみを強めたのは確実でしょう。
尊敬する父親が危険だと言った存在である自分。それがバレたら嫌われるのではないかという恐怖心があったのでしょうか。
いや、多分自分を生んだ父親が自分が何者か知らないはずがないことは一郎彦もわかっていたはずです。
しかし、それが聞けなかったのは父親の人間に対する発言から「父親の一番弟子として認められないのは自分が人間だからかもしれない」という思いが強固となることを恐れたからだと思います。
恐らく一郎彦は自分を知りたいけど、父親の発言や自分を認めてくれないという現状(これ自体も一郎彦の悩みであったと思います)から、人間としての自分を受け入れる勇気がなかったのです。
きっともっと猪王山が一郎彦と関わる時間を増やしてあげていれば、彼は本来の自分を受け入れる勇気を持つことができたのだと思います。
もう一つ一郎彦の闇を深めた要因は、間違いなく蓮という存在でした。
蓮は初めはのけ者にされていたものの、強くなって成長していくにあたりまわりのバケモノから認められる存在になります。
一郎彦はそんな蓮がうらやましくあったのだと思います。
なぜなら、蓮は何も隠さずありのままの姿で認められるのに、同じ人間であるかもしれない自分は本当の自分を隠して生きていかないといけないのですから。
また、自分は尊敬する父親になかなか相手にされないのに、蓮はいつも師匠である熊徹といられます。それも彼にとっては羨ましく感じたのでしょう。
しかし、自分がありのままに生きられない苦悩や師匠である父親とあまり関われない現状が妬ましさに変わりいつしか自分と同じ人間である蓮を恨んでいくようになったのだと思います。そしてこれが悲劇に繋がるのです。
それと関連して孤独が彼を苦しめのでしょう。
蓮は「自分も一郎彦になっていたかもしれない」と作中言いますが、それは一つとして自分が家を出ないで親戚の家で暮らすことになっていた場合のことを言っていると思います。
つまり、一郎彦の闇を作ったのは恐怖心から誰にも心を開けないことが原因で生まれた孤独感であったのです。
家族の中で一人だけ人間であるということ、そして何より打ち明ける相手がいないこと、それが彼の孤独感を作り上げていったのだと思います。
ここで思うのが、どうして蓮に打ち明けることをしなかったのかということ。
あまり作中で蓮と一郎彦の交流が描かれていないものですから、彼らがどれくらいの仲であったかはよくわかりませんが、きっと対抗心故に出会った時から心を開ける仲ではなかったと思います。父親の猪王山と熊徹はライバルですからね。
そのせいで打ち明けられずむしろ嫌いな存在になってしまって一郎彦の心の闇は広がっていまったのでしょう。(話そうと思ったらいつも弟の二郎丸が近くにいたとかそういうことではないと願います。)それにしてもかわいそうです。
一郎彦が闇に飲み込まれてしまった経緯をまとめ
・自分が何者かわからないことの不安感
・尊敬する父親が危険であると言ったことが起因して人間であることを受け入れられないことの苦悩
・誰にも真実を言えずにまわりに嘘をついて生きることの孤独感
⇓
・同じ人間なのに上記の苦悩を持たない蓮に対する羨ましさと恨めしさ
⇓
蓮に対する恨みと父親に認められたいという気持ちの強さが熊徹に向けられる
そしてなにより一郎彦の闇を作った原因は、そのいい子すぎる性格です。
一郎彦はいい子だからこんなに闇を抱えてしまったのです。
家族に心配をかけたくない。両親が隠すことがあるのならそれを受け入れよう。
そんないい子であることが、一郎彦を追い込んだんですね。
そして、宮野真守が相変わらずの本領を発揮するに至ると・・・
そう、本当宮野真守の狂いぷりは最高でした!!!!
宮野ォォォオオオオ!!!!!!!!
と心の仲で叫びましたし、途中笑いがこみあげてくるほどでしたね。
はあ、それにしても一郎彦可愛いかった!!!!!!!!!!!!
成長しても闇を抱えてもなおあんな可愛い帽子かぶってる一郎彦が可愛くないわけがない!!!!!
帽子とったらどんな反応するんだろうとか妄想しちゃうでしょ!!!!
可愛い、一郎彦可愛いよ。可愛すぎる。カズマくんに負けないほどに可愛いよ・・・!!!!!
むしろ闇落ちしてくれてよかった!!!!!←
いい子の一郎彦も、闇落ちの一郎彦も大好き!!!!
情緒不安定になってお父さん大好きな一郎彦大好き!!!!!
い・ち・ろ・う・ひ・こォォォォォォォォ!!!!!!!!!!
一郎彦の漫画とか小説が二次創作でもなんでも出てくるのを全力で楽しみにしています!!!!!!!
映画日テレ屋で一郎彦の帽子買えます。
「バケモノの子」全体の感想です!